家紋のブログ

家紋あれこれ

会社勤務の頃、業務上どうしても家紋を覚える必要がありました。
現役を離れて数年が経ち、ウォーキング中にふと見上げた蔵の家紋に昔の記憶が甦りました。
お寺や神社、旧家の蔵、商店の看板やのれん、お墓など見て歩いています。
学術的な難しい事は解りません。あくまでも見て楽しむ。
珍しい家紋に出あった時の嬉しさ、そんな価値観を共有出来る方がいれば嬉しく思います。

家紋見て歩き家紋(瓦紋)

日本のとある城下町で見た瓦紋です。
どの様な経緯でこの家紋になったのか、この家紋の意味するところは何なのか、などの文化的歴史的背景はここでは省略します。
家紋としての造形的な面白さや意匠的な特徴について書きます。


先ずこの様な瓦紋を撮影をするのは、近くで水平に正面から撮る事は殆んど不可能です。
二階建ての屋根の上にあり、隣の屋根が近かつたり道路が狭く見上げる様に撮ったりで、かなり撮影視点が限定されます。


三つの家紋は、基本は「根笹」紋です、私は撮影する前に先ず単眼鏡で見て、何の家紋か確認します。その時点で三つとも根笹だという事は解りました。往来のある路上のそれも遠くからなので細部までは見ずに撮影します。


撮った写真をPCでアップして、始めて細部の違いが解かります。これは驚きと嬉しさの時間ですね。上三紋が瓦紋を参考に、私が作図しました。イラストに関しては素人なので、あくまでも参考資料程度に見て下さい。どれも独自紋なので紋帳やネットを調べても出てきません。下三紋が紋帳に乗っている「根笹」紋です。瓦紋に近いと思われるのを乗せました。


左の紋から見ますと、小枝が七本葉が五枚根が三本で「七五三根笹」と言います。
特徴的なのは真中の小枝の意匠が違う事と、小枝と根が太くなっている事です。
中の紋なのですが、実は瓦紋の意匠に近い根笹紋は無かったので、仕方なく「根笹」紋の基本紋を乗せました。大きな違いは何処か判りますか。小枝や根の意匠が違うのは当然ですが、葉の向きと枚数を見て下さい。「根笹」紋の葉は右向きが二枚左向きが三枚が殆んどで、後は正面に一枚と左右に数枚づつの意匠だけなのです。ここでお判りですね。
この瓦紋は右向きに三枚左向きに二枚なのです。あらゆる資料を調べましたが、見つかりませんでした。単眼鏡で見た時には、この違いには全く気が付きませんでした。まあ私の先入観もありましたので。こんな紋もあるんですね。奥の深さに改めて気ずかされました。
また作図には苦労しました。左右反転してもこうはなりませんから、一からの作図です。
右の紋ですが、「根笹」紋自体はそれ程珍しくありませんが、「節根笹」紋はかなり珍しいです。小枝の付き形を見て下さい。全く違います。また根も太く力強く意匠されています。


これは城下町のごく一部の紹介です。造り手のこだわりと心意気がひしひしと伝わって来る文化と歴史です。