家紋のブログ

家紋あれこれ

会社勤務の頃、業務上どうしても家紋を覚える必要がありました。
現役を離れて数年が経ち、ウォーキング中にふと見上げた蔵の家紋に昔の記憶が甦りました。
お寺や神社、旧家の蔵、商店の看板やのれん、お墓など見て歩いています。
学術的な難しい事は解りません。あくまでも見て楽しむ。
珍しい家紋に出あった時の嬉しさ、そんな価値観を共有出来る方がいれば嬉しく思います。

家紋四方山話

上図に家紋を10種取り上げました。これは私が家紋に関わって40数年の経験から、
一般的によく見る家紋の陰紋を選びました。
なので、いわゆる家紋ベスト00ではありません。
学者と言われる方の本やネット等で、家紋ベスト00を調べても大同小異で、どれ
が確かか解りません。それにベスト00に選んだ根拠は、使用している人の数なのか、
その紋の多様な形の数なのか。その様な統計的な根拠は何処にもありません。
例えば「藤紋」は日本中の隅から隅まで、何人が使っているのか、その形の種類は
幾つで、それも日本中の隅から隅まで調べたのか。その様な数は何処を調べても出て
来ません。勿論私にもその数は持っていませんし、そんな調査をする事は出来ません。
明確な根拠の無いベスト00は、各自の説に任せて、ここは私の現場での経験による
自論でお話しします。


上図に「渡辺星」が入っているのは何故か。家紋に固有の苗字が付いているのは、
公家や武家を除いては珍しいのです。苗字は戸籍登録されて、統計的にも数字が明確
ですね。「渡辺」は苗字6位でその人数は約1.060.000人と言われています。
これはあくまでも私の推論ですが、その渡辺さんの内の7割から8割の方が、「渡辺星」
を家紋としていると思われます。そしたらその数は凄いですよね。
私の説が間違っていると思われるなら、近くの墓地なり霊園に行かれて、渡辺家の墓石
を見て下さい。その殆んどが「渡辺星」なのです。


次に、取り上げた家紋は一般的な意匠の紋にせずに、なぜ陰紋にしたのか。
出回っているベスト00の家紋の殆んどは、一般的な意匠の紋です。
そこでこの様な意匠の家紋もある事を知ってもらいたいからです。
陰紋とは何なのか、ざっくり言って女紋です。
その家に代々伝わる家紋を、正紋、定紋、表紋などと言います。
そして家督を継ぐ男が使う紋なので、男紋とも言います。
封建時代は一般女性は公の場に出る事は許されませんでしたね。
そこで家の中で、陰紋を衣裳にあしらって楽しんだのでしょうね。
基本的な家紋には、殆どに陰紋があります。そして現代に家紋を公の場で使う。
葬儀、仏壇、お墓、お祭り、各催しなどに、そこは男紋ばかりです。
そこに女紋である陰紋が出てくる事は滅多にありません。
封建時代から令和の現代まで、家の文化は何も変わっていないのですね。

「糸輪に豆桜」
輪は細く紋は小さく、遠慮したような家紋ですね、これも女紋の一種です。
家紋にはこんな悲しい歴史があるんですね。